横山秀夫の原点

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最初に読んだ一冊が気にいると、続けざまにその作家に傾倒するのが、私の本の読み方だ。
そういう意味でも、なんで今まで読んでいなかったんだろう?と首をひねった一冊がこれ、『ルパンの消息』。

横山秀夫の処女作、新聞記者から作家への転身を決めたサントリーミステリー大賞佳作受賞作。
未刊行だったものを新たに加筆修正されたものが写真の文庫本だ。

横山秀夫との最初の出会いは、ドラマや映画化もされた『クライマーズ・ハイ』だ。
日航機墜落を追った記者たちを扱ったものだが、この日航機墜落、個人的にも強烈な印象として記憶に残っている。

その日、私達は家族旅行で北海道を訪れていた。まだ子供達は幼稚園にも入園していなかったように思う。
空港からホテルに向かうと、ロビーのテレビの前に人だかりが出来ていた。  
日航機墜落のニュース映像だ。

これは後から知ったことだが、墜落した機はその直前に、北海道への航路も取っていたという。
その日、たまたまその機に乗り合わせた方々の不運を思うと、その旅行自体が罰当たりのような気がしてならなかった。

警察小説、新聞記者モノならこの人、その臨場感が多くのドラマ化、映画化の実現に繋がっているのだろう。

この『ルパンの消息』は、三億円強奪事件の時効に絡めた伏線が面白い。明日は早起きしなきゃならないのに〜と思いつつも夜更かしして読み上げてしまった。